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平出 哲也; 古田 光*; 鳥養 佑二*; 藤村 由希; 満汐 孝治*
JJAP Conference Proceedings (Internet), 9, p.011106_1 - 011106_7, 2023/00
低エネルギー重水素プラズマに暴露した多結晶タングステン(ITERグレード)試料を、Naを陽電子源として用い、陽電子消滅寿命測定を実施した。重水素プラズマのエネルギーは低いため、その効果は表面付近のみに現れると予測された。しかしながら、プラズマに暴露した試料の陽電子消滅平均寿命は暴露処理していない試料よりも長くなった。さらに、試料が2mm程度の厚みであるにもかかわらず、プラズマを暴露した面ではない反対側の面の測定を実施しても、表面とほぼ同じ結果が得られた。タングステン中に水素や重水素が存在することで欠陥が導入されるという報告は今までにないが、この結果は試料内部において重水素の影響で欠陥が導入された可能性を示している。
奥津 賢一*; 山下 琢磨*; 木野 康志*; 宮下 湖南*; 安田 和弘*; 岡 壽崇; 岡田 信二*; 佐藤 元泰*
JJAP Conference Proceedings (Internet), 9, p.011003_1 - 011003_7, 2023/00
ミュオン触媒核融合において、負ミュオンは水素同位体の核融合の触媒として働くことが知られている。本研究では、ミュオン触媒核融合サイクルにおける重水素・三重水素・ミュオンの共鳴状態(dt)をルンゲクッタ法による逐次計算により分析した。その結果、dtの生成が核融合反応を促進させることがわかった。
平出 哲也
no journal, ,
陽電子消滅による水の研究は行われてきている。水の放射線分解で多くの活性種が形成される。陽電子が水中に入射されても、そのトラック末端で過剰電子は形成される。入射陽電子も同じ領域で熱化する。その結果、過剰電子のひとつと入射陽電子は結合状態であるポジトロニウム(Ps)を形成できる。過剰電子が形成される際に形成されるカチオンは直ちに水分子と反応し、OHラジカルとなる。過剰電子の中には水和され、長時間存在し続けるものもある。その結果、Psの周囲には多くの活性種が存在する。三重項のortho-Psの場合、長寿命であるため、これらの活性種との間で反応が起こる。陽電子消滅寿命-運動量相関(AMOC)測定では水中で起こる非常に興味深い現象、たとえば電子のスピン相関のあるOHラジカルとortho-Psの反応を観測できる。陽電子消滅による水に関する研究について解説する。
岡 壽崇; 木野 康志*; 関根 勉*
no journal, ,
ポリエチレンは原子力施設や加速器施設のケーブル被覆材や絶縁体として利用されており、長期間の利用で劣化することが知られている。そのため、施設の安全性や健全性には、劣化の評価が非常に重要である。本研究では、電子線照射から3年間大気中で保管した高密度ポリエチレンの長期酸化劣化を、赤外分光法, ゲル分率測定, 電子スピン共鳴法および陽電子消滅寿命測定法を用いて継続的に調べた。オルトポジトロニウムの生成割合とゲル分率測定の結果には直線関係があり、この直線関係は時間とともに低生成割合・低ゲル分率の方向にシフトした。これらの結果は、高密度ポリエチレンは3年経ってもなお、長期的な酸化劣化を引き起こしていることを示している。また、陽電子消滅寿命測定法は、照射による構造変化を非破壊にモニターすることができることがわかった。